信長の野望20XXの二次創作です。
「思ってた○○像と違う」あったらごめんなさい。
読みたい人だけどうぞ。
~~~能登進軍中~~~
「へくしょん、ぶるっ」
ぱしゃぱしゃと、水の撥ねる音。
「...よいか!再度勝手なマネをすれば...今度こそ『ぐんぽうかいぎ』もの!じゃぞ!」
夕暮れ時の、山里の小川。
豪姫は清らかな水を桶で掬い取ると、やや乱暴に、赤やら緑やらの液体の付着した橋姫の身体をあらう。
妙玖「まあまあ...後で私とゆるりとお話しましょう、橋どの」
妙玖が布地でもって、清めたあとの橋姫の身体をくるむ。
つい先程まで、惨憺たる光景を現出させていた橋姫も、こうなっては母親と赤子の如しである。
小野寺はというと、女性陣に加わるわけにはいかず、少し離れたところで背を向け木の根に腰を下ろしている。
機構支給の缶コーヒーを手元に置きながら。
あの時、橋姫のもとに小野寺が駆けつけると、彼女は既に脚からどくどくと血を流していた。
毒で死にきらなかった甲冑虫に刺されたのだろう。
「デラさん...ごめん」
鬼の戦いにも限度があるのだろうか。彼女の場合、嬲るような無道の振る舞いが、押し寄せる敵の群れから見ると隙であり綻びでもあったのだ。
橋姫はふっとその場に倒れ込む。
甲冑虫のもたらす麻痺...軽い脳震盪を起こしたようになるそれである。
小野寺が周囲を見ると、先ほど橋姫があれほどの損害を与えたにも関わらず、なおも幽魔はこちらを包囲しにかかっている。
ちらと豪姫のほうを確認すると、小野寺はパニッシャーX25を肩に担いだ。
「眠れないのかね」
「...はい」
「傷は大丈夫か」
「鬼ゆえ、自分で治せまする」
夜が更けた。
野営地は、彼らの後を追ってくる機構のスタッフが用意した、男女別に用意されたキャンピングカーのような車両である。
小野寺が幌の部分に腰掛けていると、こっそりと車両を抜けてきた橋姫が話しかけてきたのだった。
「あの後、たっぷり妙玖さまに諭されました」
「どのように」
「己に力があっても、あのように惨い戦い方をしてはなりませぬ、それは巡りめぐって己の心を蝕み、苦しめることになりまする、と...」
(さすが毛利の奥方様よ。儂が言わんとしたことを大抵言っておる...)
「私は」
「夫に捨てられた身」
「ただただ妬みに身を焦がしていた、そんな私を、外の国の人々は認めてくれた、それに報いたいと...」
言葉に間を置きながら、橋姫は己のことを語りはじめる。
「今日の振る舞いも、鬼である私の力をお見せすれば、皆が私を頼むようになる、そう思って...」
「...儂は、勝てればそれでよいとも思うがね」
「ただ、お主を見ていると、儂の息子たちを思い出す。なんというか危ういのよ...ひとつふたつ申しておく」
小野寺輝道の長子・光道は、仙北一揆に連座して自害したと伝わる。仁愛の情溢れる将であったからこそ、上方へ絶望的な抵抗を試み、民に殉じたのであろうか。
「お主には儂にない才があり、価値がある。己を大事にせよ。」
次男・義道は勇猛さでは奥羽にまたとない存在であったが、最上義光はじめとする周囲の勢力に翻弄され、没落していった。
「また、己の力の使い方を間違えてはならぬ。それがわからぬ時は儂を頼るのだ」
ーーーここまで語り、小野寺輝道ははっとした。
今のは、仮に出来うることならば...己の息子たちにこそ語っておきたかった事だと。
そして橋姫はというと、はらはらと涙を流している。鬼ではなく少女の涙であった。
「明日も早かろう。寝るのだぞ」
小野寺はばつが悪そうにキャンピングカーの中へと引っ込んでゆくのだった。
~~~能登進軍中~~~
信長の野望20XXボスの強さレビュー
サイコロジストは永久に不滅です!
0コメント